御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「おい?本当にいいのか?」

 「あ、ええ。大丈夫です。ここから帰ります。それでは失礼します」

 しかし、本部長のお母様も社長さんだったとは。本当の御曹司だった。両親そろって社長とか、尋常じゃない。仕事が出来るのも血筋だったんだろうな。

 それから数日して、イベントが開催された。
 お客様も大勢入られて、大好評。過酷な毎日が報われた。

 本郷さんがブースへ入って来た。

 「水川さん。君が書いたパンフレット好評だよ。なんだか家族団欒の会話みたいなのを書いたんだって?」

 「そうなんです。本郷さん、読んでくれてなかったんですか?」

 「いや、実は納品が早かったり遅かったり、チェック漏れもあったりで迷惑かけたね。今回は工場に振り回されて、君らの仕事を見る余裕が全くなかった。リーダー失格だったな、すまない。この間も本部長に頼んだ納品やってくれたそうだな、ありがとう」
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