御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
清水さんは本部長が好きらしい。一緒に働いていたら短期間だけどよーく分かった。ほら、今も身体を横に近づけて話してる。残念ながら、本部長にその気がないのは私にもわかるんだけど、清水さんはわからないのかもしれない。
何しろ、紗良先輩への笑顔に勝る顔で女子社員と話してるの見たことないもん。可哀想だけど、絶対清水さんはだめかもしれない。
「ねえ、水川さん。あのパンフレットの会話って水川さんの憧れなの?結婚したらこういう会話がしたいとか……」
「え?」
「だって、なんかいかにもラブラブ夫婦と子供達じゃないの」
「……んー。なんか、恋愛小説や少女漫画の影響かもしれません」
本部長が笑ってる。え?清水さんも驚いてるよ。
「水川はああいう話し方しないもんな。上司の俺にも言いたい放題だ。甘えるとかないかもな」
「ふふふ。じゃあ、あれは想像の産物だったのね」