御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「……なんか違う」

 「水川さん、本部長がまたアイス奢ってくれるそうよ。あのメーカーのアイスがいいんでしょ?」

 「そうでーす。限定のマンゴー味が食べたいでーす」

 「ああ、わかった。マンゴーでもパパイヤでも好きにしろ」

 そういうと、お金をくれた。やった!今日は暑かったし、私は喜んで清水さんと買いに行った。

 イベントは大成功に終わった。良かった。報われた。しかし、戻ると紗良先輩はいなかった。なんと、切迫早産気味で入院してしまったのだ。私のせい?お仕事手伝えなかったし。それだけが心残り。安産のお守りを週末買いに行こうと決めた。
 
 そして、何よりこれが大変なのだ。だって、引き継ぎも中途半端なまま、大量の仕事を残して先輩はいなくなってしまった。
 しかも九月に入ってすぐ……つまり、決算が近い。

 休む間もなく、修羅場が始まった。

 
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