御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
そして、けろりと俺に言いいはなった。
気にすることはない、本部長のやりたいようにやればいい。本部長が優秀なのは皆知っている。皆わかっているんだから、と。そして社長もわかっているし、義理の弟もそんなこと知れば悲しむと……。
逐一ごもっともだった。わかっていながら尻込みしていた俺を蹴飛ばしてくれたのが水川だ。
イベントの準備も一緒にふたりで行ったが、疲れが見えていたので車で寝ていけと言えばすぐに寝てしまう。変な話だが、俺を意識など全くしていないのが分かる。
ただ、清水のようにあからさまな好意を態度で出されるよりはずっとましだ。会社では本当に困る。
水川は俺を信用する上司というポジションで見ているのだろう。緊張する相手の前で無防備に寝られるはずもない。
ふたりで片付けをしていたら、母から帰りに声をかけられた。
ショッピングモールの隣のマンションは椎名不動産のものだったのだ。
水川を帰して、食事へふたりで出た。