御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
「お前が子会社に出されるくらいなら、こっちへ入社させていたわ。あの人は何しているのよ。お前もあの会社に居づらいならうちへ入りなさい。そして私を助けてちょうだい」
母は食事をしながら、悔しげに語った。父さんが起業したとき、母さんの名前を入れて会社名にしたことや喧嘩して別れたわけではないこと、春田の祖父に働き続けた母の理解が得られず、母さんの社長就任という仕事への夢を父さんが理解して、苦渋の決断だったこともあとで聞かされた。
俺は母さんが父さんの会社に入ったらと勧めてくれたことは、父さんへの母さんの気持ちなんだろうとずっと思っていた。
「いや、子会社に出してくれと頼んだのは俺だ。義弟と争うつもりはなかったからな」
「……英嗣。お前、なぜ逃げているの?離婚したってお前は長男よ。しかも私という味方もいる。後添えの彼女の兄がそっちの会社へいようとそんなの何の問題もないわ」
「……母さん」
「お前をあの人のところへ入社させたのは……」
「わかったよ。俺も少し考え直そうと思ったんだ」