御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
「そういう子は大切にしなさい。なかなか、そうやって助言してくれる子なんてその年になるといないんじゃないの?そういえば、あなたまだ彼女もいないの?例の部下は結婚したんでしょ?」
「ああ。今産休に入った。彼女の引き継ぎをしたのがさっきの水川なんだ」
「そうだったの。そういえば、イベントのHARUNAのパンフレット見せてもらった。先ほどショッピングモールの事務所でね。あれすごくいいわね、若い夫婦の日常会話の中で商品を上手に絡めているの」
「ああ、そのパンフレットの文章を考えたのが水川なんだ。俺も初めて見たときは衝撃だった」
「そうよね、あれはなかなかいいわよ。若い私の秘書も見て驚いていたわ。ねえ、こんどは必ず水川さんを連れてきてちょうだい。一度話したいわ」
「なんで?」
「ん?ちょっと思いついたことがあって。仕事の事よ。実はね、あのパンフの文章を考えた担当者を紹介して欲しいって今日は言うつもりだったの。まさか、あなたの直属部下とは思わなかったけど」
ニヤリと笑っている。嫌な予感しかしない。母は結構ひらめきを仕事に生かすタイプだ。