御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
「さすがに吉崎さんが目をつけていただけあるな。今後活躍が期待できそうだ。お前も助かるだろう。吉崎さんだが、おそらく復帰したら本社へ戻ることになるかもしれん」
「……やはり本社へ行くことになるんですね」
「そうだな。この開発の仕事は臨機応変もそうだが、若い人に入って欲しいんだ。想像力が必要だし、忙しいからな。人数が少ないこともある」
「そうですね、小さい子供を抱えて働くには忙しすぎます。改革が必要です」
「来期の経営改革にそれを盛り込む。お前もそのめどがたったら本社へ戻すかもしれないからそのつもりでいろ」
「……父さん」
社長は手を上げて制した。
「英嗣。お前の気持ちはわかっているが、俺はできるならお前に継いで欲しい。お前なら善嗣を任せたとしても安心だ。善嗣が上に立てば、おそらく外戚に操られるだろう。専務のことはお前もわかっているだろう?俺にお前の力を貸して欲しいんだ。俺も若くはない。そして何より、お前の母との約束も果たしたい」