御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
「……母さんへの気持ちは息子としては嬉しいです。いずれ父さんのために力を貸しますよ」
「ああ。俺の気持ちもわかっていてくれ。拒むなよ。頼む」
俺は父の真剣な目を見て、うなずくしか出来なかった。
「ああ、そのパンフの彼女はいずれ見に行くかな。会うのが楽しみだ」
そう言って、父はいなくなった。
水川の言うとおり、逃げるのをやめた。俺に必要だったのは俺の事情をくんで一緒にアドバイスしてくれる人だ。吉崎にも水川と似たようなことを言われたことがあったが、継母と俺との間に立ってぶたれた彼女の姿があの日からどうしても記憶に残る。
水川なら俺が悩んでいても明るく背中を押してくれるかもしれないと思う。
吉崎が予定より早く産休にはいったせいで、水川は忙しくなった。イベント前も忙しかったのに、大丈夫かと心配になる。俺の仕事は自分でやれるところはやるので、それ以外をさせている。