御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
「おい、聞いているか英嗣。だから、水川さんに社長賞をあげようと思う」
「……ええ!?もしかして、パンフのことですか?」
「そう、その通り。あれのお陰でコマーシャルまで出来た。あのパンフの通りに俳優が話すコマーシャルだ。そして、またあの商品が当たった。しばらく在庫切れなんだ」
「……二部の部長から売れているという話は聞いてましたが、在庫切れなんですか?」
「ああ。彼女のお陰でなくて、なんだ?これはもう表彰するしかない。しかもイベント後から突如黒字幅が広がった。これで本社の重役達に文句を言わせず、少し多めに今回の異動で子会社へ人を移す。仕事も少しは平延べできるだろう」
「そうですか。いや、本人は驚くと思います。周りもどう思うか……」
「周りは結構彼女のことを知っているんじゃないか。本社でも噂になってる。吉崎さんの秘蔵っ子としてな」
「は?!」
「田村君が社内でそのことを自慢している。彼も相変わらず面白い奴だよ。人たらしだし、それでいて仕事はやる。お前とは反対だな。甘え上手で俺も大分彼にやられてしまった」