御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「だめですよ。それじゃ、できるようにならないし……」

 先輩がいない決算だけど、自分で初めて全部やりきらないと来期困ると思う。すると、ぽんと背中を叩かれた。

 「えらいぞ。前向きになったな。ただし、スピードが遅い。ウサギを目指せ。ネコのままではダメだ」

 「……ニャー」

 本部長は頭を撫でてくれた。

 翌日。

 とうとう午後に無事決算を乗り切った。
 
 結局本部長の仕事を決算中はできなかった。でもとりあえず決算の事務仕事はやりきった。えらいぞ、私。
 ご褒美にチョコを食べてにまにましながら休憩していたら、書類が頭に乗せられた。

 振り向くと本部長。ああ、仕事を元の通りにするってことだろうなと思っていたら、打ち合わせルームに押し込まれた。机を挟んで座る。
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