御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 すると、本部長が両手で私の手を包んだ。

 「よく聞け。ここだけの話だが、俺は春からこちらの専属ではなくなり、本社と兼務になるそうだ。あと半年でお前をウサギに変身させてやる。これから仕事振りまくるから頑張れよ。出来るなら本社に連れて行きたい」

 「ええ!?」

 な、何言ってんの?本部長頭おかしくなった?

 「本部長。私は時間がかかるんです。急には無理です」

 「そういうと思った。お前は何かというと判を押したように同じその台詞を吐く」

 私は口を押さえた。確かにそうかもしれないけど、半年なんて本当に無理だよ。

 「……本部長こそ、落ち着いて下さい。私が誰か分かってます?」

 「ああ。最近猫くらいの早さで仕事が出来るようになった水川香那だろ?」
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