御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 笑ってる。むかつく。

 「だから、半年でウサギは無理です」

 「あのときまだカメ同然のお前をイベント要員にしたのも、成長させるためだ。思った通りネコにとりあえずは成長しただろ」

 「……そんな」

 「これから本格的に俺の仕事をすればさらに成長できる。ウサギどころかウマになれるかもしれんぞ」

 どうしてそういう話に?私はウサギで十分だよ……。

 嬉しそうにこちらを見ている本部長。もうどうでもいい。
 今はとりあえず、社長賞のことだけで頭いっぱい。

 「……少し考えさせて下さい。社長賞のことだけでいっぱいです。どうしたらいいんですか?壇上で挨拶とかできません」

 「何言ってんだ。あのパンフの名ゼリフを考えた水川さんらしくないな。是非とも名挨拶を期待してる。ああ、原稿の添削くらいはしてやるよ。出来たらもってこい」
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