御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 そう言うと笑いながら出て行った。
 信じられない。どうしよう。

 ぼーっとして外に出てきた私を、橋本君が心配そうに見つめている。

 席に着くと、すぐに後ろから椅子を寄せて来た。

 「おい、どうしたんだ?大丈夫か?まさか異動?」

 「……博士。どうしよう」

 「は?何かやらかしたのか?おい?」

 そうだよね。私がどうしようと言えば、失敗と思い浮かぶあなたが正解です。社長賞っておかしいでしょ?

 「……社長賞……」

 「社長賞がどうした?今年は誰だろうって話してたんだよ、昨日も同期で……」
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