御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 橋本君は自分の席へ戻っていった。私はあと二十分しかない時間を必死で見積書作成に費やした。すごい。出来上がった。確かに私はネコからウサギへ進化している途中かもしれない。

 本部長へ持って行ったら、席で真剣に書類を見ながら悩んでる。
 どうしたんだろ?

 私に気がついて、顔を上げて手を出した。

 「終わったか?見積書。早く出来るようになったな、カメじゃなくてネコだもんな」

 「……ニャー」

 目が合って、ふたりで笑い出した。周りがびっくりしてる。
 本部長は咳払いして、難しい顔を作りながら小声で言った。

 「水川。お前の受賞前のプレ祝賀会を俺がやってやる。今日は金曜だし、急だが今夜でもいいか?」

 「はい。何か美味しいものを食べさせてくれるんですか?」
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