臆病な私の愛し方

あなたを知らない

 その夜テイキさんはファミレスで、私の話を嫌がる素振りも見せずに黙って聞いてくれた。
 家族のことや学校のこと。少し申し訳無いけれど、前の彼であるアツシさんのことも私は気付けば話していた。

 しかしその後何度か待ち合わせて会えたテイキさんは、相変わらず自分のことを話してはくれない。

 私からも聞いてもいいものかを考えているうちに聞きそびれ、結局何も聞けずにいる。

 やはり付き合ったばかりだからだろうか?
 私はテイキさんのことも知りたいと思っているのに…

 おまけに心配がもう一つ。

 私はその後、テイキさんにどんな頻度で連絡をしていいものか分からずにいた。
 テイキさんがいつも駅にいたくらいの時間に駅前にいることができても、待ち合わせない限り偶然で会えるはずもない。

 学校帰りやアルバイトに行く前にも見てみているのに…

 しかし忙しいかもしれないテイキさんに、会いたいというだけで連絡なんかして良いのだろうかと思ってしまう。

 前の彼であるアツシさんは私を妹扱いでこまめに連絡をしてくれていたし、私には今まで付き合ったのはアツシさんしかいない。

 テイキさんとはどのくらいの距離でいたらいいのだろう?
 テイキさんに、しつこいって嫌われたくない…

 しかし寂しがりな私はとうとうテイキさんに自分から連絡をしてみることに。

 気付けば付き合ってから一週間ほども経っていた。


「もしもし…テイキさん、いま大丈夫ですか…?」

 テイキさんはいつもよりもゆっくりとした口調で応対してくれ、無事に二日後の夜に会えることになった。

 やっと会える…
 でもテイキさんは、私と会えるのを喜んでくれるだろうか…?
< 15 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop