臆病な私の愛し方
私の知らない『叔父』
ある日、家への帰り道を一人で歩いていたときのこと。
「失礼ですが、青沢奈津さん、かな…?」
私はそう話し掛けてきた相手に振り返る。
きっちりした身なりの五十歳くらいの男の人。
少しふくよかで、穏やかな表情を浮かべて私を見ている。
「…はい、そうですが…?」
誰だろうと不審に思いながら返事をする私に、その人は続ける。
「はじめまして、奈津さん。突然のことで信じては貰えないかもしれないけれど、私は君の母である春香の兄で、君の叔父なんだ」
その人は私に名刺を渡す。
そこには彼のものらしい名前と、なんとなく聞いたことのある企業の名の横に『取締役』と書かれていた。
『春香』は確かに私のお母さんの名前。
けれど私の両親は、育ちが違うと反対した親族たちを押し切って一緒になったと聞いている。
いわば駆け落ち同然。
だからお葬式にも両親の仕事仲間や友人は呼んでも、親族は誰も呼んでいない。
今まで音沙汰も無かったのに…
「今さら姿を見せるなんて、君からすれば納得はいかないだろう…今まで申し訳無かった。今日はね、君への謝罪や挨拶と話をさせてもらいたくてきたんだ。少し時間は貰えるかな?」
「失礼ですが、青沢奈津さん、かな…?」
私はそう話し掛けてきた相手に振り返る。
きっちりした身なりの五十歳くらいの男の人。
少しふくよかで、穏やかな表情を浮かべて私を見ている。
「…はい、そうですが…?」
誰だろうと不審に思いながら返事をする私に、その人は続ける。
「はじめまして、奈津さん。突然のことで信じては貰えないかもしれないけれど、私は君の母である春香の兄で、君の叔父なんだ」
その人は私に名刺を渡す。
そこには彼のものらしい名前と、なんとなく聞いたことのある企業の名の横に『取締役』と書かれていた。
『春香』は確かに私のお母さんの名前。
けれど私の両親は、育ちが違うと反対した親族たちを押し切って一緒になったと聞いている。
いわば駆け落ち同然。
だからお葬式にも両親の仕事仲間や友人は呼んでも、親族は誰も呼んでいない。
今まで音沙汰も無かったのに…
「今さら姿を見せるなんて、君からすれば納得はいかないだろう…今まで申し訳無かった。今日はね、君への謝罪や挨拶と話をさせてもらいたくてきたんだ。少し時間は貰えるかな?」