臆病な私の愛し方
 私は今さら何だろうと不審に思った。

 テイキさんに相談しようかと私が考えていると、その人はまた穏やかに言った。

「すまないが私は大病を患ったばかりでね、本当はあまり外を出歩けないんだ。悪いが…」

 その人がそう言い終わらないうちに、近くの車からボディーガードのような、屈強そうなスーツ姿の男の人が一人降りてくる。

 私は呆然とした。

 …もし断ったら、私はこの人たちにどこかに連れて行かれてしまうんだろうか…?
 私はもう二十歳になるとしても、この人たちには口でも力でも勝てるはずがない。

 これじゃ、テイキさんに連絡を取る隙ができるかどうか…

「…大丈夫だと言っているだろう?少し近くのレストランに彼女と行き、話をしたいだけだ。しばらく待機していてくれ」

 私の叔父を名乗った人はボディーガードらしい人にそう断ると、静かに私の返事を待つ。

 私は断ることを諦め、小さく頷いた。
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