臆病な私の愛し方

突然告げられた別れと、出会い

「…別れ…を…?」

 しばらく考え、やっとアツシさんが何を言っているのかが分かった。その途端、私の中には焦りが生まれる。

「どうしてアツシさん…!いきなり、別れてだなんて…!!」

 するとアツシさんは気まずそうにすぐに目を逸らした。

 …また、私を見てくれなくなった。
 こんなときなのに…

「…お前の御守りをするのは、僕はもう無理なんだ、ごめんな…」

 きっと、もう私の“お守り”は飽きて…

「バイバイ、いい“お兄ちゃん”を見つけろよ…」

 そう言い残してもうこちらを見ずにアツシさんが去っていくのを、私は泣きながら感じていた。

 分かっていた。
 いつかアツシさんは私のことを見てくれなくなるんだって…
 でも私はまだ、何もアツシさんにしてあげられていないのに…


 と、突然、私の近くに誰かが寄ってくる気配がした。

「…忘れろよ…あんな男…!」

 それと同時に、その誰かがそう言った。

 私の近くで。それもとても冷たい声で…

 私のことを言っているわけではないことに気付いて、ゆっくりと顔を上げてみる。

 アツシさんと同じくらいの、若い男の人。
 アツシさんより背が高くて、鋭い目付きでアツシさんの帰っていっただろう駅の方を見ている。

 するとすぐに、私の方を気まずそうに見つめた。
 そして、

「…どこがいいんだ、あんな奴の。あの台詞、あんたをちゃんと見ようとしていない証拠だろ」

 呆れたように、投げ捨てるようにそう言った。
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