臆病な私の愛し方
 夢の中、叔父さんは私の前に現れた。
 そして私は手を強く引かれ、乗ってきた車に押し込められる。
 口を塞がれ、もう叫ぶこともできない。

 凍るような冷たい手で抑えつけられ、鋭いナイフが私を今にも切り裂こうと喉元に光ったところで、私はやっと目が覚めた。


 私は夢から覚めても蘇る恐怖にまた震えだす。

「テイキさん…助けて…!」

 たまらず叫ぶと、テイキさんは隣のキッチンからすぐに来てくれた。

「…叔父さんがっ…私のこと、家に閉じ込めようと…!!帰りたくない…怖い…怖い…でも…!」

 胸にすがり付き震える私を、テイキさんは強く抱き締め返してくれる。
 そしてはっきりとした口調で私に囁き掛けた。

「…俺のそばをずっと、離れないでいてくれるなら…ナツを守ってやる…」

 テイキさんのその言葉は、私のことが変わらず好きだと言ってくれている気がした。

 テイキさんは私を必要としてくれている。
 私はそれだけでとても嬉しかった。

「私、テイキさんのこと大好きですから、もちろんそばにいさせてください…!」


 その夜、私はテイキさんの熱を感じながら初めての夜を明かした。
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