臆病な私の愛し方

私の失敗

 ある日の夜、コンビニでアルバイトの真っ最中の時のことだった。

「おい、姉ちゃん…」

「は、はい…?」

 レジの接客に振り返ると、ふらふらと体を揺らしているお客様。

 酔ってる…?

 顔を真っ赤にしてふらついているそのお客様は、私が手に持っていたホットフードの小さな紙袋を指差したまま言った。

「お会計。それでこのアイスさぁ、それに入れて」

「はい…?」

 アイスを?
 そんなことをしたら、少しでも周りが溶けた紙袋は破れてしまうのが当たり前。それに袋は小さ過ぎて、そのアイスが入るかもわからない。

「…え、あの…お客様…」

「ビニールはいいから、ソレにさ。早く。俺の言うこと、聞けないの…?」

 私にふらつきながら顔を近づけてくる。

「あ、あのっ…困ります…」

「…だからさ、レジ袋じゃねえんだから代金は良いだろうが。俺はこのアイスを、その紙のでいいから入れろって言ってんの。分かる?ボンヤリ姉ちゃん…」

 お客様は据わった目で、怖い表情で私を見ている。

 チーフは休憩中。
 しかし、こんな時にどうしたらいいのか私にはわからない。

 その時、

「…あのさ、店員さんが困ってるでしょう?諦めたらどう?」

 いつもの、あの男の人。

 …困っている私に気付いて、来てくれたんだ…

 そう思った瞬間、私は涙目になっていた。
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