御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
あっという間に2曲目が終わり、次がラストダンス。
恋人や好きな人がいない人たちは食事ブースへとはけて行く。
残った人数は半分くらいに減った。
私の目の前には加瀬くんが手を差し伸べてくれている。
この手を掴めば・・・・・・間違いなく幸せになれると思う。
一瞬、氷上くんの顔が頭をよぎったけど、それを振り払うように頭を振った。
現実を見るんだ。
そう決心して、加瀬くんの手を握ろうと私も手を差し伸べた。
パシッ
横から入って来た綺麗な手に、差し出した手首を掴まれ、クイッと引かれる。
っ!
「・・・っだめ、いいんちょ」
少し息を切らした氷上くんが立っていた。