御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
舞踏会が終わって1週間が経った。
のんちゃんが言っていたことを何度も思い出しては考えたけど、答えがでない。
加瀬くんは普通に話してくれるけど、まだ告白の返事はちゃんとしてない。
氷上くんのことは、ずっと避け続けている。
どうしたらいいかわからない。
もういっそのこと、氷上くんに気持ちを伝えて振られてしまえば諦められるのに。
氷上くんは、私のこと・・・好き、なの?
ラストダンスに誘ったってやっぱりそういうこと?
でも、自意識過剰過ぎない?
あーーーーもうだめだっ
なんでこんなにぐるぐる同じことで悩んでんだろう。
昼休み、一人で中庭の人気のないところまで来た私は、ベンチに座って背もたれに背中を預け空を見上げた。
「いいんちょー、いた」
っ!
その声に勢い良く身体を起こし、逃げようと腰を浮かせた。
「逃げないでっ。お願いだから」
氷上くんが目の前に立ちはだかり、逃げ場をなくした私は大人しくゆっくりとそのままベンチに腰下ろした。
「ちょっと話しようよ」