御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「いいんちょー、こっち見てよ」
っ、
無理無理。見れないよ。
全く微動だにしないに私の両肩を、横から伸びてきた手が掴んだ。
クイっと氷上くんの方へ上半身を向かされる。
私はおずおずと顔を上げた。
目の前の綺麗な瞳は、少し揺れていた。
「これ以上・・・いいんちょーに避けられたら、嫌われたら・・・俺、どうにかなりそう」
氷上くんの苦しみが伝わってきて、胸がぎゅーっと締め付けられる。
目が逸らせない。
「好きだよ。いいんちょーが好きだ」
思わず目を見開いた。
ドキドキと胸が高鳴る。
うそ・・・
両想い・・・なの?
すごく嬉しいはずなのに、手放しでは喜べない自分がいた。
だんだんと下がる視線。
「いいんちょー?いいんちょーは俺のことどう思ってる?」
「・・・・・・私は、」