御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「はい、森下。はい、高沢」
加瀬くんが差し出してくれたミルクティーを受け取ろうとすると、
ゴトッ バシャッ
「わあっ!」
「おわ!ごめん!高沢!」
「あちゃちゃ、ティシュ?タオル、拭くもの拭くものー」
私が受け取り損ねてミルクティーが氷と共に盛大に溢れた。
これはほぼ全部。
制服にもかかり、グレーのスカートもミルクティーで前面が濃いグレーになっている。
すかさずポケットに入れていたハンカチで拭き取るけど、ハンカチでは間に合わず。
テーブルからはポタポタとミルクティーの雫が落ち続けている。
周りはちょっとした騒ぎになっていた。
「今、清掃頼んできたっ」
のんちゃんが台拭きを借りて戻って来た。
「高沢、これで吸い取れるかな?ほんとごめんな」
加瀬くんがペーパータオルを取って来てくれて、申し訳なさそうに謝る。
「大丈夫だよ。ふたりともごめんね、ありがとう」
のんちゃんがせっせとテーブルを拭いてくれてる間に、私は加瀬くんが持って来てくれたペーパータオルでスカートの水分を取っていた。