御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


「ねぇ、いいんちょー。もう一回言ってくれない?」

「もう一回?」

「俺のことどう思ってるの?」

「っ・・・さっき、言いましたっ」

「うん。だからもう一回」


甘えるような低音の声が耳元で響く。


改めてなんて、恥ずかしいよっ。


顔がだんだん熱くなってくる。


「苺花」


っ!


急に名前を呼ばれて身体がビクッと反応した。


「苺花、お願い」

「〜〜っ、それはずるいよ・・・」


名前を呼ばれて嬉しいけど、甘えてくる感じの氷上くんは可愛いけど、なんか、悔しい。


「好きだよ。・・・琳凰くん」


意を決して言ったのに、バッと身体を離された。


「ちょ・・・やばすぎ。それは」


右手で口元を覆い、ほんのり顔を赤くしている琳凰くん。


普段は完璧な王子様のこんな姿を見るのは初めてだ。


かわいい・・・。

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