御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「どうしたの?琳凰くん」
「ちょ、それわざとやってる?」
まだほんのり赤い顔で睨まれても全く怖くない。
「ふふ、かわいいね、琳凰くん」
そう言った途端、スイッチが切り替わったように真剣な顔になった琳凰くんは、私の顔を両手で挟みおでこをくっつけてきた。
ち、近いっ!
形勢逆転したみたいに、今度は私の顔が熱くなっていく。
「・・・・・・キスしていい?」
返事をする前に唇に柔らかいものが触れた。
一瞬触れて離れたかと思うと、また触れる。
「好きだよ、苺花」
「んっ、琳凰く・・・」
甘い低音の声に痺れて思考が麻痺する。
甘い・・・クラクラする・・・
でも・・・夢みたいに、幸せ。
触れるたびに好きが溢れて止まらない。
「あー・・・ダメだ。全然足りないけど、これ以上はやばいかも」
そう言って私を抱き締めた琳凰くん。
私は琳凰くんの腕の中で、はぁはぁと少し乱れた呼吸を整える。