御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


「どうしたの?琳凰くん」

「ちょ、それわざとやってる?」


まだほんのり赤い顔で睨まれても全く怖くない。


「ふふ、かわいいね、琳凰くん」


そう言った途端、スイッチが切り替わったように真剣な顔になった琳凰くんは、私の顔を両手で挟みおでこをくっつけてきた。


ち、近いっ!


形勢逆転したみたいに、今度は私の顔が熱くなっていく。


「・・・・・・キスしていい?」


返事をする前に唇に柔らかいものが触れた。


一瞬触れて離れたかと思うと、また触れる。


「好きだよ、苺花」

「んっ、琳凰く・・・」


甘い低音の声に痺れて思考が麻痺する。


甘い・・・クラクラする・・・


でも・・・夢みたいに、幸せ。


触れるたびに好きが溢れて止まらない。



「あー・・・ダメだ。全然足りないけど、これ以上はやばいかも」


そう言って私を抱き締めた琳凰くん。


私は琳凰くんの腕の中で、はぁはぁと少し乱れた呼吸を整える。

< 111 / 165 >

この作品をシェア

pagetop