御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
第九話 御曹司くんの溺愛
「氷上くん、そろそろ手を離しませんか」
「んー?だめ」
「でも・・・もう教室着くし、ね?」
「また氷上くんに戻ってる」
「あ・・・。琳凰くん、手離そ?」
「ん。それでも離さないけどね」
そんなやり取りをしているうちに、私たちは恋人繋ぎをしたまま教室に着いてしまった。
私たちが教室に一歩踏み入れると、しんっと静まり返る教室。
全員の視線が私たちに向いている。
うっ、
これはちょっときついかも。
ぎゅっと握られたままの手をどうにか解こうとした瞬間、
「おめでとう!」
「おめでとうございます!!」
祝福の声と共にどわっと拍手に包まれた。
え・・・・・・?
なに・・・?
思ってたのと、違う・・・
「ありがとう、みんな」
その声の主を見上げると嬉しそうに笑っていた。