御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「きゃーっ!氷上様のあの幸せそうなお顔!素敵っ・・・」
「初めて見ましたわ!」
「あの氷上様を落とすなんて・・・、悔しいけど、認めるしかないですわね」
「すげーな高沢」
「あー・・・普通科の女神が・・・まぁ氷上には敵わねーよなー」
いつの間にか教室内はお祭り騒ぎだ。
えぇ〜・・・
初めて見るクラスの一体感。
VIP、普通科関係なく盛り上がっている。
その中である人と目が合い、ハッとした。
そうだ。私はこうなる前にちゃんと話がしたかったんだ。
握られている手を解いて、すぐ近くの席に座っている彼に声をかけた。
「加瀬くん、ちょっと話せるかな?」
「・・・おう」
「苺花、何してるの」
琳凰くんのちょっと低い声。
「ごめん琳凰くん。ちょっと加瀬くんと話させて」
「じゃあ俺も」
「ごめん。ふたりで話したいの」
「・・・・・・・・・わかった」
渋々な琳凰くんの返事を聞いて、加瀬くんと教室を出た。
クラスのみんなは学級委員どうしがまた何か用で出て行ったと思っているのか、変に騒ぎ立てる様子はなかった。