御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


そこには、扉に寄りかかるようにして立つ琳凰くんの姿が。


鋭い視線は加瀬くんを捉えていた。


「加瀬さぁ、人の彼女口説くのやめてくれない?苺花は俺の彼女だよ」


琳凰くんはそう言って私の隣までやってきて肩をグイッと抱き寄せた。


「・・・フッ。名前で呼ぶようになったんだな。おめでとう。さっきも言ったけど高沢泣かすようなことだけはするなよ。俺が言ったことに変わりはないから。・・・じゃあな、高沢。これからも友達として変わらずよろしく」


そう言って加瀬くんは教室を出て行ってしまった。



空気が・・・重たい。


「苺花」

「は、はい」

「浮気?」

「う浮気!?ちがうよっ」


不機嫌オーラを纏った琳凰くんが私を見下ろしている。


「・・・・・・今ので、加瀬のこと好きになった?」

「え?私が好きなのは琳凰くんだよ?」

「・・・・・・ん」

「ん?」


そう返事したかと思えばぎゅっと抱き締められる。

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