御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
琳凰side.
保健室を出てその場に立ち尽くす。
苺花の泣き声が微かに聴こえてくる。
胸が痛い。
何が苺花をあそこまで追い込んだ・・・?
苺花は別れたつもりでいるだろうけど、俺はそんなつもりは全くない。
ここは一旦、苺花の言った通りにしたほうがいいと思った。
苺花が別れを選んだ理由はもっと他にあるはず。
ずっと様子がおかしかったし、何か俺に言えずに隠していることがある。
俺はスマホを取り出し、電話をかけながら保健室を離れる。
「・・・・・・ちょっと頼みがある」
電話の相手は「うぃー」なんていつものようにのんきな返事を返してきた。
使えるものは全部使ってでも苺花の笑顔を取り戻す。
だから、
もうちょっとだけ待ってて、苺花。