御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


「苺花!どういうこと!?」


朝、登校してきたのんちゃんが血相を変えて、私の席へとやって来た。


ついにのんちゃんの耳に入ってしまった。


琳凰くんと別れた次の日は学校を休んでしまい、今日私からのんちゃんに言うつもりだったけど噂の方が早かったみたいだ。


琳凰くんと別れてすぐ、私は自分の下駄箱に「別れました」という手紙を書いて入れておいた。


そこでしかすぐに知らせる手段がなかったから。


手紙の犯人は事実確認が取れると、ここぞとばかりに周りに言って回ったんだろう。別れて2日後、みんながあちこちでヒソヒソと話をしている。


「ねぇ!苺花!?」

「のんちゃん、ちゃんと話したいから場所変えよう」


のんちゃんは、私を見て噂話している子たちを睨みつけながらプンスカと歩いていた。


誰もいない屋上にやって来て、コンクリートの段差に二人で腰掛けた。

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