御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「ひとりで抱え込んでたんだな。気づけなくてごめん」
私の話を最後まで聞いてくれたのんちゃんは眼鏡の奥で少し目を潤ませていた。
「ううん。私が誰にも言えずに勝手に抱え込んでただけだから」
「・・・それにしても、氷上は何やってんだ。そんな簡単に受け入れたのか?」
「・・・・・・うん。わかったって言ってくれたよ」
ん"ーっと膝に肘をついて手に顎をのせ、なにやら考え込んでいるのんちゃん。
「手紙の相手は結局わからないままなんだよね・・・。でも、これでお父さんとお母さんがまた働けるようになったら、いいかなって」
本当にそう思ってる。
だけど、心はどこかまだモヤがかかっていてすっきりしないまま。