御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
・・・・・・え?
「は?何言って」
「俺は別れたつもりないから」
えっ・・・・・・
え?
どういうこと・・・・・・?
加瀬くんが私を振り返り少し横にずれてしまったため、琳凰くんと目が合った。
「で、でも琳凰くん・・・この間話した時に、わかったって・・・」
「苺花の考えはわかったって言ったんだよ。俺は別れるって言ってない」
っ・・・
それは・・・・・・
「ででも、困るよっ。私は・・・別れたいのっ」
じゃないと・・・
また、これを聞かれたでもしたら・・・お父さんとお母さんが・・・
「ほら、氷上、高沢がそう言ってんだからいい加減諦めろよ。困ってるだろ」
「加瀬は黙って。俺は苺花と話してんの」
「お前っ」
加瀬くんが氷上に掴み掛かろうとする。
「わ、わたしは!・・・・・・話すことなんて・・・ないからっ」
「・・・だってよ。行こう、高沢、森下」
手を止めた加瀬くんがそう言って振り返り、私の手を取って下駄箱へ連れて行く。
「苺花っ」