御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


早くここから離れないとっ


琳凰くんと一緒にいたらダメなんだって・・・



私たちは急いで靴に履き替え外に出た。


琳凰くんに呼ばれたけど振り返らなかった。


それ以上何も言ってこなかったし、追ってくる気配もない。


よかった・・・・・・


ホッとする気持ちと、言いようのない寂しさが胸でぐるぐる渦巻いて消えそうにない。



校門を出た私たちは歩くスピードを緩めた。


「ごめん・・・私・・・ファミレスはまた今度でもいいかな?」


このまま行っても楽しめない気がするし、ふたりにも気を遣わせてしまう。


「・・・・・・おう、まぁいつでも行けるしな」

「・・・・・・大丈夫か?苺花」

「うん、大丈夫。ごめんね、ふたりとも」


それからふたりと別れ、まっすぐ家に帰った。


ずっと考え事をしていたのか気づくと家に着いていた。


帰り道、私の頭の中を占めていたのはやっぱり琳凰くんで・・・



別れたつもりはないって・・・・・・


正直、嬉しくないと言えば嘘になる。


だってまだ、好きでいてくれてるってことだよね・・・・・・



でも・・・・・・だめだよ。


だめだめだめ。



自分から別れるって決めたのにっ


こんなの未練たらたらだよ。



私はあの時別れたと思っていたのにな・・・


これじゃあ・・・どうなるの?


もし、手紙の相手に聞かれていたら・・・さっきのことを知られたら・・・


私が嘘をついたことになるだろうし、もっと酷いことをされるんじゃ・・・・・・


考えるだけで怖くなってきて、自室のベッドの上で体育座りをしたまま膝を抱え込んだ。

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