御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「・・・・・・琳凰、お前が藤堂と婚約破棄をしてまで選んだ相手じゃ。氷上を蹴落とそうとするやつは昔も今も少なくない。言いたいことはわかるな?お前がしっかり苺花さんを守らなければならん。
しかし琳凰、頼もしくなったのう・・・。だが、ワシが裏で手を回しとることには辿り着けなかったな。ハッハッハ」
琳凰くんのお祖父様の笑い声が響く中、講堂の入り口の方から数人の足音が聞こえてきた。
「会長!またあなたはっ!」
講堂に入って来たスリーピースのスーツを着こなすダンディな男性が声を上げた。
その後ろにパンツスーツの似合う綺麗な女性、そして榎田さんが続いて入って来た。
「おぉ、来たか、理人(まさと)、梨恵さん。お前たちの時よりも手加減したつもりじゃがな。またやり過ぎたかもしれん。ハッハッハ」
「苺花さん、申し訳ない。父の代わりに謝罪させてください。榎田から君と琳凰のことは全て聞いている・・・」
ーーーそれから琳凰くんのご両親に散々頭を下げられ、琳凰くんのお祖父様もまた謝罪してくれた。
琳凰くんのお祖父様が琳凰くんと私に試練を与える為ため、私について調べ、私の両親が看護師だと知ったお祖父様は医療界のトップである黒崎グループに足を運び、黒崎くんに協力を仰いだと。
そして今回の騒動を企てた。
黒崎くんは、美輪海里さんという藤堂さんのファンで親衛隊に入りたいと言っている子に今回のことに協力してもらったと言っていた。
手紙を入れていたのも、さっき私に呼び出しの電話をかけてきたのも美輪さんだったと。
私にはなんの恨みもないそうだ。
むしろ美輪さんは、黒崎くんと藤堂さん推しで、ふたりにくっついて欲しいと思ってるんだとか。
はあぁぁぁぁぁ・・・
私も徐々に状況を理解して落ち着いてきたころ、「あとは2人でゆっくり話しなさい」と言われ琳凰くん以外みんな帰ってしまった。