御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
放課後。
「苺花。私の中で一つの仮説が立ってるんだけども」
のんちゃんと二人で昇降口に向かう途中、のんちゃんが切り出した。
「仮説?なに?」
「氷上が苺花を好きなんじゃないか説」
「は、え??もう、なにそれー。絶対ないよ。だって氷上くんには藤堂さんがいるんだよ?」
のんちゃん、何を言い出すかと思えば。
「それな。そう、婚約者がいるんだよ。でも、最近の氷上はさ、なんかにおうんだよね」
顎に手を添えて、探偵みたいに推理しようとしているのんちゃん。
「のんちゃん。氷上くんはずっといい匂いだよ?」
「バカ苺花。頭良いくせに、こういうことはほんっっとに鈍いよね!怪しいにおいだよ!」
「あー、怪しい?んーー、確かにちょっと様子は変だけどね。私的には、お家のことで何か大変なことでもあったんじゃないかと思ってるんだけど・・・この仮説はどう!?」
「なし」
「えぇ〜」
「もっとマシな仮説立てんかい」
「マシじゃん。一番あり得そうだよ?」
「私のは確率80%、苺花のは20%ってとこよ」
「ええ!それはないよ!」
何言ってんの、のんちゃん。
氷上くんが私を好きってことがほぼ確定ってことになるじゃん。
それは100%ありえないよ。