御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


「あ、このあいだの・・・」


ふと、聞き覚えのある可愛らしい声がして足を止め振り向くと、そこには藤堂さんと氷上くんが立っていた。


これから同じ車に乗り込むところのようだ。


放課後デートにでも行くのかな?


「あ・・・このあいだは心配してくださってありがとうございました」


のんちゃんと加瀬くんを置いて、私だけ少し近寄る。

ミルクティー事件の時、藤堂さんが声をかけてくれたことを思い出してお礼を伝えた。


「いえ。私は何もできなかったので・・・。これから皆さんでお帰りですか?」


藤堂さん、すごく腰が低くてお嬢様って感じだなぁ。


「あ、はい。ファミレスでも行こうかなって」

「ファミレス・・・?」

「ああ、ファミリーレストランのことで・・・ご存知ないですよね。私たち庶民が行くところなので、あはは」

「そうなのですね。不勉強なもので申し訳ありません」

「いやいや、そんな」


すごいな・・・

やっぱり、いいとこのご令嬢ともなるとしっかりしてるなぁ。

将来氷上くんの隣に立つ人だもんね。


私なんかより随分大人に感じるよ。
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