御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「おふたりはこれからデートですか?」
藤堂さんと、さっきから黙っている氷上くんにも視線を向け聞いてみた。
「あ・・・はい」
ちょっと恥ずかしそうに答えたのは藤堂さん。
氷上くんは、じっと私を見ている?
ん?どうした?
「高沢、そろそろ行こーぜ」
加瀬くんが私のすぐ隣に来てそう言った。
「あ、うん。・・・それじゃあ」
ふたりにペコっと頭を下げて、加瀬くんとまた校門に向かって歩き出した。
「いいんちょー、」
すぐに呼ばれて振り返る。
「・・・また、明日」
「あ、うん。また明日ね」
ひらひらと手を振った私を見て、氷上くんは少し柔らかく表情を崩し、藤堂さんと車に乗り込んでいった。