御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


次の日。


「いいんちょー、昨日さ、」


1限目が終わり次授業の準備をしていたら、隣の氷上くんが椅子の背もたれに背中を預けたまま話しかけてきた。


「うん?」


話を聞こうと顔を氷上くんに向けると、


「高沢ー、職員室行こうぜ」

「あ!そうだった!氷上くん、ごめん、またあとでね」


加瀬くんに声をかけられ思い出した。


さっきSHRで先生に、1限終わったら学級委員二人で職員室に来るように言われたんだった。


なにか言いたげな氷上くんに謝り、私は加瀬くんと一緒に教室を出た。



先生の用事は配って欲しいプリントがあるとかで、加瀬くんと二人で大量のプリントを受け取ると教室への帰路についた。


「なあ、高沢。・・・氷上になんか言われたりしてる?」


二人で並んで廊下を歩いてると、急に隣の加瀬くんが切り出した。


「氷上くん?何も言われてないよ?なんで?」

「いや、大丈夫ならいいんだけどさ。なんか最近困ってんじゃないかと思って・・・。なんかあったら、いつでも俺に言えよ?」

「あ、うん、わかった。ありがとう。加瀬くんは本当に優しいよね」


出会った頃から変わらず気にかけてくれるし、優しくしてくれる。


加瀬くんの彼女になる人は幸せだろうなぁと思うよ、ほんと。
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