御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「また忘れたの??」
「うん」
本当に忘れたならしょうがないけどさ・・・
昨日言われたこともちょっと気になる。
『1日1回は、いいんちょーに教科書見せて欲しいなって』
・・・まさか、本当に毎日じゃないよね!?
とりあえず授業始まってるし、今は仕方なく机をくっつけた。
「ここはポイントだから覚えておいてくださいね」
お互い真面目に授業を受けながら、ノートをとる。
チラッと隣を盗み見ると、氷上くんはスラスラとシャーペンを走らせていた。
綺麗な字書くんだよねぇ。
シャーペンを持つ手も綺麗だけど、骨ばっていて男らしさも感じるし。
横顔は鼻筋が通っていて輪郭はシャープだし、ほんとにイケメンなんだなぁ・・・
って、私はしみじみ何を思ってるんだ。
「・・・そんなに見られると照れるんだけど」
低音の落ち着いた声が小さく響いて、慌ててシャーペンを握り直し前を向いた。
ババ、バレた。
やばい、いつのまにか見入っちゃってたよ。
なんか恥ずかしっ。
顔がじわっと熱くなるのがわかった。