御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
第三話 波乱を呼ぶ席替え!?
氷上くんに最後に教科書を見せた日から、1週間が経った。
あの時、私は拒絶されたと感じたものの、氷上くんは今まで通り普通に絡んでくる。
ただ、教科書見せてとは言わなくなった。
「今日は氷上様、お休みなのですね」
「ご実家の所用だとお聞きしましたわ」
「氷上財閥のご子息ですもの。お忙しいのでしょうね」
ご令嬢たちが話しているのが聞こえてきた。
そう、今日は氷上くんが朝からいないのだ。
お家の用とかでたまーに休むことがある。
氷上くんがいないと周りも静かだから、ちょっと寂しい気もする。
「では、そろそろ席替えしましょうか!最近要望も多かったので」
「「「やったー!」」」
担任の先生の授業が早めに終わり、席替えをすることになって教室が盛り上がる。
そろそろとは思っていたけど、今日か。
氷上くん、休みだけどいいのかな?
「氷上くんの分は、結城(ゆうき)くん引いてくれる?」
「うぃー」
先生が、声をかけたのは氷上くんの友達の結城くん。VIP科所属だけど、お堅い感じはなく、ゆるくパーマのかかった茶髪の、どちらかといえばチャラい男子だ。
先生の作ったくじを順に引いていく。