御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
それから数日経って、氷上くんは頻繁に授業をサボるようになった。
どうやらまた、保健室で寝ているらしい。
先生に様子を見て来て欲しいと頼まれ、3限目の休み時間になり、保健室へ行くことにした。
「高沢っ、俺も行くよ」
「大丈夫だよ。私一人で行ってくる。ありがとね、加瀬くん」
「・・・・・・わかった。じゃあ、頼んだ」
加瀬くんは渋々納得してくれて、私は一人で教室を出た。
ガチャ
保健室のドアを開けると、空いている窓から気持ちいい風が通り抜けた。
中はシーンと静まり返っている。
また先生いないんだ。
もしかして、誰もいないのかな?氷上くんもいないとか?
そう思いながら奥へ進むと、カーテンの閉まっているベッドを見つけた。
そっと覗き込むと、右腕を目元に乗せた氷上くんが横になっていた。
腕まくりしたシャツから出たスッと綺麗な、だけど男らしい前腕。そしてその下には隠しきれない整った顔。
どんな状態でもイケメンオーラを放ってるんですね。
寝てるのかな・・・?
「氷上くん・・・?」
恐る恐るベッドサイドまで近づき声をかけると、氷上くんは腕をずらして、目をゆっくり開けこっちを見た。
「いいんちょー・・・」
「うん。具合悪いの?次、出れる?」
「・・・・・・・・・具合・・・悪い」
「そっか・・・。じゃあ先生にも伝えておくね。ゆっくり休んで。早めに早退できるように保健室の先生にも言っておくね」
そう言ってその場を後にしようと向きを変えるとパシッと腕を掴まれた。