御曹司くんには婚約者がいるはずでは！？

まだ何か用があったのかなと掴んだ相手を振り向く。


「ん？まだ何かあった？」


氷上くんはじっと私を見つめたまま、掴んだ腕を離さない。


「･･････いいんちょーのせいだよ。具合悪いの」

「えっ？私･･･？」

「･･････いいんちょーが、加瀬とばっかり話してるから。見てるとむしゃくしゃする」

「え･･･？」

「･･････なんで、俺の隣じゃないの」

「えっと･･･」


何を言ってるんだろう、氷上くん。


具合悪いのは、私が加瀬くんと話しているから？


んん？どういう意味だ？


「隣じゃないのは･･･席替えしちゃったから、しょうがないよ。･･････それより、腕、離してもらってもいいかな？」


さっきからずっと掴まれたままで、なんだか心が落ち着かない。


グイッ


「っわ！」