御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「結城くんは、行けないの?」
「そーなんだよね。だから、学級いいんちょーに頼もうと思って。琳凰とも仲良いでしょ?他の子に頼むより信頼できるからさ」
「そーなんだ・・・。でも、私なんかが行って大丈夫かな・・・?」
「全然大丈夫。寧ろウェルカムじゃない?はい、スマホ貸して」
強引だけどナチュラルに事を進める結城くんに言われるがまま、スマホを渡してしまう。
「じゃ、よろしくね」
結城くんは私のスマホを少し触ったあと、スマホとノートを私に手渡して教室を出て行ってしまった。
スマホと渡されたノートを手に持ったままその場に立ち尽くす。
「・・・・・・のんちゃん、どうしよ」
「苺花ならできる」
「一緒に来てく「苺花ならできる」
「えぇ!ひとりで!?無理、無理だよ〜・・・のんちゃん一緒に来てよぉ〜。お願いっ」
のんちゃんの前で手をスリスリと擦り合わせて懇願する。
氷上くんのお家なんて、想像もできない。
普通の家じゃないだろうし、未知すぎて怖いんですけど・・・。
それに・・・、保健室であんなことあったばかりだから、ちょっと気まずいし・・・。
「苺花、あんたはどんな困難にも立ち向かえる子よ。グッドラック」
眼鏡をキランッと光らせて親指立ててるのんちゃん。
「のんちゃん〜」
学校を出るまで何度も頼んでみたけど、最後までのんちゃんが首を縦に振ってくれることはなかった。