御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


「高沢様ですね。どうぞお入りください」


玄関に着くと、タキシード姿の60代くらいの男性が立っていて扉を開けてくれた。


柔らかい微笑みを向けてくれたその人は、表情から纏う空気から優しさが滲み出ている。


おかげで緊張が少し和らいだ。


玄関を上がり用意されたスリッパに履き替える顔を上げると、また微笑まれる。


「わたくし、琳凰様の執事をしております。榎田(えのきだ)と申します。琳凰様から部屋へお通しするよう申しつかっております。ご案内致しますね」

「はい・・・、よろしくお願いします」


前を歩き出した榎田さんの後ろをついて行く。


高級ホテルみたいな廊下。


行ったこともないけど、それくらいしか表現が浮かばない。


廊下の所々には、いくらするのか全く想像もつかない高そうなの壺や絵画が飾られている。
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