御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
意外にも結城くんのノートは綺麗で、ポイントもわかりやすくまとめてあるから教えやすい。
逆に私が教えなくても、このノート見るだけでわかるのでは?とも思ってしまうけど。
「いいんちょーの手、綺麗だね」
「っ・・・・・・ありがとう。って、ちゃんと聞いてますか、氷上くん」
急に何を言い出すかと思えば!
そして、手、握っちゃってますけど・・・。
私たちは絨毯の上に隣同士で座り、ガラスのローテーブルにノートを広げている。
頬杖ついてそんなにまじまじと見つめないで欲しい。
綺麗な二重が伏し目がちになると、妙に色っぽい。
話聞いてないなら、本当に今すぐ帰りたいんですけど・・・
なんか心臓がおかしくなりそう。
「あの、離してくれる?」
「いいんちょーってさ、好きな人いるの?」
「え?な何、急に」
思いがけない質問に、胸がドキッと鳴った。
慌てて握られていた左手を引っ込める。
なんか本当に、氷上くんがおかしい。
なんで急にそんなこと聞くの・・・?
その時、
コンコンコン。
ガチャ
「琳凰くんー?」
扉が開いて、入ってきた藤堂さんが私たちを見て足を止めた。