御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


琳凰side.



バタンと扉が閉まった。


「桃香、どうした?」


まだ立ち尽くしている桃香に声をかけた。


桃香が俺の部屋に来ることはよくある。


だからいつもの事なのに、何故か今は心臓がバクバクと鳴っている。別にやましいことをしていたわけじゃない、よな?


「あ、勉強教えて欲しいなって」


桃香はいつものように穏やかに笑ってそう言った。


「ああ、いいよ。こっちおいで」


桃香に勉強を教えるのもいつものこと。


さっきまでいいんちょーが座ってたところをポンポンと叩いた。


そこに桃香がちょこんと座る。


「琳凰くんも勉強教えてもらうことあるんだね?さっきのって、高沢さん、だっけ?」

「うん。今日は早退したから、受けてないとこ教えてもらってた」

「そおだったんだ。体調悪いの?」

「いや、大丈夫」
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