御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「氷上様、次は音楽室に移動ですわよ」
ご令嬢たちがいつものように氷上くんに声をかけに来た。
隣の氷上くんを見ると、
彼もこっちを見ていてパチッと目が合った。
ん?
表情で何?と訴えてみるけど、反応なし。
確実に目は合ってると思うんだけど・・・
「高沢ー、行くぞー」
「いちかー」
いつのまにか入り口に移動している加瀬くんとのんちゃん。
「あ、待ってー!すぐ行く」
よくわからない氷上くんのことはご令嬢たちにお任せして、私は急いで席を立った。
そんな私の後ろ姿をずっと目で追われていたなんて、もちろん知らない。