御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
第五話 ダメなのに
「行かないで・・・」
振り返った氷上くんの目が見開かれているのが、ぼんやりした視界の中でもわかる。
「氷上くん・・・」
私は何を言おうとしたんだろう。
引き止めた挙句、名前まで呼んだくせに無責任にも瞼は閉じて、私は意識を飛ばしてしまった。
「・・・あーもう。可愛いすぎでしょ・・・。せっかくこっちが必死に・・・・・・」
意識が途切れる寸前、氷上くんが何か言ってた気がする。