御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


っ、


視界に映った男女に、思わず顔がこわばった。


「おぉ、珍しいじゃん。琳凰&桃香。みんなで食べよーぜー」


のんきに返す結城くん。


6人掛けのテーブル席はあと2つ空いていたからちょうど座れはするけど・・・


気まずい。


非常に気まずい。


まだ氷上くんにお礼言えてないのに・・・藤堂さんも一緒なんて。


保健室のことを思い返すと罪悪感に苛まれる。


なんで今日に限って・・・。



「なんだか楽しそうだなーって、ね?琳凰くん。琳凰くんがすごく入りたそうだったから」

「いや、俺は別にっ」

「ほうほう。まぁ、座りなさいなお二人とも」

「あーっ、森下ちゃん。オレとは違ってウェルカムじゃん。なんか妬けるなー」

「アンタちょっとうるさい」


のんちゃんと結城くんが間にいるおかげで気まずさは緩和されているけど、それでも、私がふたりに話しかけるなんてとてもできない。


あー。こんなことになるなら、もっと早く氷上くんにお礼言いにいけばよかった。


薄情なやつだと思われてるよね、たぶん。


まともに左側が見れない。

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